東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
言語を用いているとき、人はどのような心(mind)の機能を使い、それはどのような脳内基盤に支えられているのでしょうか。心理言語学の中には、人間の言語理解(parsing, processing)・言語産出(production)の際の心の働きを実験で調べる研究や、言語獲得のプロセスを実験や幼児の発話データ(コーパス)によって調べる研究があります。言語使用に関わる脳の働きを調べる神経言語学的研究として、失語症その他の「障害事例」研究や脳機能イメージング、脳波測定などを用いた脳科学的研究があります。
人間は、言語に特化した「言語能力」を持っているという立場から、生成文法研究は、その能力の本質を明らかにしようとしています。一方、言語使用に特化しない一般的な心の働き(認知能力)がどのように言語使用を可能にするか、という視点から言語を捉える考え方に認知言語学の研究があります。さらに、心の働き全般と言語能力との関係を哲学的に考察する研究も行われています。
なお、言語情報科学専攻は、このような「ことばと心・脳」の関係を軸に、21世紀COEプロジェクト「心とことば:進化認知科学的展開」の幹事専攻となり、多くのメンバーが拠点形成に関わっていました。