東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
16世紀のイングランドを代表する詩人エドマンド・スペンサーの『妖精の女王』を読み、叙事詩、騎士道ロマンス、寓意詩など、多様なジャンルが融合して生まれたこの大作の中で、現実と虚構、過去と現在が複雑に絡み合い、たがいを照射し合う様を観察する。スペンサーはアイルランドで植民地官僚としての任務に励むかたわら、古典古代の叙事詩や中世のロマンスの影響を受け、詩作に没頭した詩人である。詩人としての技量はきわめて高く、後世の詩人たち(とりわけミルトン、ポウプ、ワーズワース、キーツ、テニスン)への影響も絶大で、「詩人の詩人」と称えられている。Sセメスターは、カトリックとプロテスタントの対立を背景に真の信仰の探求をテーマとした第1巻(「赤十字の騎士の神聖の物語」)を精読する。
Sセメスターに詩の第1巻を、Aセメスターに第5巻を読む予定。
原詩の精読を中心に授業を進め、併せて近年の批評を読み、詩の解釈について議論する。
毎回の授業での取り組みと学期末レポートに基づいて総合的に評価する。
Edmund Spenser, "The Faerie Qveene," ed. A. C. Hamilton (Harlow: Pearson, 2001)を用い、プリントを配布する。
授業中に指示する。
必ず予習して授業に臨むこと。