英語の構造分析を通して、言語学において統語論・意味論と呼ばれている分野の手法と考え方を学ぶ。文法解析にはその対象となる言語データが不可欠であり、このコースでは英語を対象言語として扱い、英語の構造、意味を特徴づける規則性を学ぶ。しかし統語論や意味論は特定の言語を想定したものではなく、すべての人間の自然言語を分析するための共通の枠組みの構築を目指している。そのため、英語のデータを通して、分析の単位となる構成素(たとえば、語と句と節)をどのように同定するか、可能な構成素の置き替え(たとえば、能動態と受動態、平叙文と疑問文)には何があるか、構造上の単位である構成素と意味上の単位はどのように対応しているか、などの疑問に答えながら、自然言語一般の普遍性を抽出するための手法と、それを証明するための論証の構築を考える。
1. 導入
2. 文法機能
3. 語彙、統語範疇、句
4. 節、文
5. 文法機能と統語形式の対応
6. 述語、文法項、意味役割
7. X-bar理論
8. 節:再考
9. 移動
10. 時制、アスペクト、態
11. 統語論における論証
12. 構成素の決定:移動と置換
13. 構成素の決定: その他の手法
14. 述語と文法項目:再考
テキストの概説を講義し、練習問題に基づいて実際のデータ分析を演習として行う。
授業中に出す課題の解答提出と学期末のレポートによる。
書名:English Syntax and Argumentation (5th ed.) 著者: Bas Arts 出版年:2018 出版社:Palgrave ISBN-10: 1137605790, ISBN-13: 9781137605795
書名:言語分析の技法 著者: ジョージア・グリーン、ジェリー・モーガン 訳者:中澤恒子、伊藤たかね 出版年:2006 出版社:東京大学出版会 ISBN-10: 4130820109, ISBN-13: 9784130820103
言語学の基礎知識を前提としない。