ドイツ語圏のベスト&ロングセラーとなったダニエル・ケールマンの『世界の測量』(原作初版2005、2012年映画化)は、19世紀を代表する博物学者アレクサンダー・フォン・フンボルトと数学者ガウスのふたりを主人公とした「歴史小説」とされる。一部史実とは異なるフィクションを含みながらも、19世紀の博物学や科学精神を反映したこの現代作品はどのように分析・解釈できるのか?レクラムの青本(ドイツのギムナジウム高学年用読解補助教材)を使いながら、基本的な作品解釈の方法を学ぶ。
教科書として使用するのはドイツ・レクラム文庫から刊行されている読解補助教材(Lektüreschlüssel)。作品自体は原文もしくは日本語訳を授業開始前に読んでいることが前提となる。補助教材についている各章課題チェックリストを効果的に利用しながら、作品構成、成立背景、人物描写、作品受容史などさまざまな視点から、ケールマンの『世界の測量』について検討する。
演習形式で行う。共通のドイツ語教科書を毎時間、履修者全員で通読し、検討・議論する。必要に応じて、時代背景の解説等を行う。
授業への積極性および学期末筆記試験を予定。詳細は授業内で説明する。
Hellberg, Wolf Dieter: Lektüreschlüssel. Daniel Kehlmann: "Die Vermessung der Welt" ISBN: 978-3-15-015435-9.
ケールマンの『世界の測量』の日本語訳(三修社から瀬川裕司訳『世界の測量 ガウスとフンボルトの物語』が出ている、もちろんドイツ語原書可)を最初の授業の前までに通読しておくこと。その他必要な参考文献は、授業中に適宜紹介する。
ドイツ語原書テクストを読むので、履修者はドイツ語中級以上の能力を持つ者に限る。毎回、ドイツ語テクストの予習がかなり必要になるので、それを了解した上での履修が前提条件。履修希望者は初回授業に必ず出席すること。また独和辞書は必携。