東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
柴崎測量官が剱岳の測量登山に成功して百年を経た2009年、木村大作により『剱岳』が映画化されるとともに、国土地理院などでも明治期の測量史が再発見・再評価が始まった。特に剱岳の測量登頂(1907)は、近代科学と文学というテーマはもちろん、宗教が密接に絡むメンタリティーの問題や、また山の崇高美といった美学概念も複雑に絡んでいる。『剱岳』を手がかりに、20世紀初頭の科学・美学・文学に関連して、さまざまな解釈の可能性や考察を試みる。
最初の数回は新田次郎の『剱岳』のあらすじの確認等、基礎的な作品知識の確認をおこなう。また作品をさまざまな角度から比較・検討するために、小島烏水およびウォルター・ウェストンの日本アルプス関連のエッセイや「山と崇高」に関する美学論文などもあわせて使用する。その後、受講者の関心に沿って、特定のテーマを選択し、順番に発表を担当してもらう予定。
基本的に演習形式をとる。いずれの時間も履修者全員で検討・議論を行う。
授業への積極性(発表等も含む)およびレポートを予定。詳細は授業内で説明する。
新田次郎『剣岳 点の記』 (文春文庫 に 1-23)
必要な参考文献は、授業中に適宜紹介・配布する。