東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
日本近代詩と「戦争」「国民」「交通」「領土」「植民地(化)」をめぐる昨年度までの考察を踏まえ、今学期は、萩原朔太郎の『氷島』を中心に、日本の「近代」と「文学」の問題について考える。ことばが詩になるとき、そこには同時代の、あるいはそのことばが背負ってきた歴史のさまざまな力がはたらいている。逆に言えば、詩のテクストを時代的コンテクストに開くことによって、詩人のことばがどのようにして時代をとりこみ、時代にはたらきかけ、あるいは時代にとりこまれながら織り成されていったかが見えてくるだろう。詩のことばと歴史の交渉性の問題を中心に据え、テクストを読んでいきたい。とりわけ『氷島』を読むにあたっては、1930年代日本の文化史の文脈を参照することが必須になるが、授業では時間をかけて一篇一篇のテクスト分析を行う作業に重点を置く。
適宜発表者を決めて、参加者全員でテクストを丁寧に読みながら授業を進める。
授業参加と期末レポート