東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

Language and Information Sciences, University of Tokyo

東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

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テクスト受容論I(『アルプスの少女ハイジ』の成立背景をめぐって Peter O. Büttner(2010)の論文"Das Ur-Heidi"を読む )

  • 科目コード(修士):31M200-0970S
  • 科目コード(博士):31D200-0970S
  • 開講学期: 夏
  • 曜限:火曜4限
  • 教室:8号館 8-322
  • 単位数: 2.0
  • 担当教員: 石原 あえか

授業の目標・概要

スイス児童文学の古典とされるシュピリの『アルプスの少女ハイジ』。実は原題直訳は『ハイジの修業および遍歴時代 Heidis Lehr- und Wanderjahre』で、これまでもゲーテの『マイスター』との類縁性が指摘され、「教養小説」としても検討されてきた。ところが2010年、ドイツの研究者ビュトナーにより、ドイツの教育者カンプ作『アルプスの少女アデレード』との類似を指摘する論文を発表、新たな議論が展開されている。この議論のきっかけとなった論文を読み、最近の研究動向を理解するとともに、シュピリの作品の位置づけを考察したい。

授業のキーワード

  • ヨハンナ・シュピリの『アルプスの少女ハイジ』
  • スイス文学
  • 児童文学
  • アダム・フォン・カンプの『アルプスの山の少女アデライーデ』
  • Johanna Spyri's "Heidi's years of learning and travel"
  • Hermann Adam von Kamp's "Adelheide das Mädchen von Alpengebirge"(183 0)
  • Swiss literature
  • Children's fiction

授業計画

まず教科書冒頭にあるBüttnerのドイツ語論文を読み、彼の主張、議論展開を把握する。続いて彼の論文中、比較対象として挙げられたカンプのドイツ語小品も通読して、実際にシュピリの『アルプスの山の少女ハイジ』と比較・検討を行い、現代の文学研究の問題点等を議論していきたい。

授業の方法

演習形式で行う。共通のドイツ語テクストを履修者全員が読解・分析・議論する。

成績評価方法

授業への積極性および学期末にはレポートを課す予定。詳細は授業内で説明する。

教科書

Peter O. Büttner:"Das Ur-Heidi. Eine Enthüllungsgeschichte" (Insel Bücherei 1349)2011. ISBN: 978-3-458-19349-4

参考書

授業中に適宜紹介する。

履修上の注意

ドイツ語原書テクストを徹底して読むので、履修者はドイツ語中級以上の能力を持つ者に限る。毎回、相当量の原文を読み込む予習が必要になるので、それを了解した上での履修が前提条件である。履修希望者は初回授業に必ず出席すること。