ゲーテの戯曲『ファウスト』は、ドイツ文学を学ぶ上で必読の作品ではあるが、その成立過程の複雑さをはじめ、難解な要素も含む。『ファウスト』第一部をドイツ語原文で読む訓練に加え、ドイツのギムナジウム高学年用読解補助教材を併用することで、作品のベーシックな分析手段も学ぶ。
教科書として使用するのはドイツ・レクラム文庫から刊行されているゲーテの『ファウスト』第一部原文テクストと読解補助教材(Lektüreschlüssel)の2冊である。この2冊を交互に参照・精読しながら、戯曲『ファウスト』第一部を文学作品としてどう分析できるか、特に補助教材についている各章課題チェックリストを効果的に利用しながら、作品構成方法、成立背景、人物描写などさまざまな視点から、その可能性を探る。
演習形式で行う。共通のドイツ語テクスト(2冊)を毎時間、履修者全員で通読し、検討・議論する。必要に応じて、作品解説等を行う。
授業への積極性および学期末筆記試験。詳細は授業内で説明する。
Goethe, Johann Wolfgang: "Faust. Der Tragödie erster Teil." Reclam ISBN: 978-3-15-000001-4 および Kröger, Wolfgang: "Lektüreschlüssel. Johann Wolfgang Goethe: Faust I" Reclam ISBN: 978-3-15-015301-7.
教科書と別途に、『ファウスト』第一部の日本語訳(どの訳者のものでも可・携帯する場合は文庫版が便利)を1冊、できるだけ早めに読み通しておくこと。その他必要な参考文献は、授業中に適宜紹介する。
ドイツ語原書テクストを読むので、履修者はドイツ語中級以上の能力を持つ者に限る。毎回、ドイツ語テクストの予習がかなり必要になるので、それを了解した上での履修が前提条件。履修希望者は初回授業に必ず出席すること。また独和辞書は必携。