14世紀末に書かれたGeoffrey Chaucer の "The Cantebury Tales" の中から "The Nun's Priest's Tale" (「尼僧付司祭の物語」)を選び、中英語の原文と現代英語訳の両方を用いながら購読する。"The Nun's Priest's Tale" は全体が650行ほどから成る韻文の物語で、古典古代から続く動物寓話の伝統を継承しつつ、聖書や古代末期の哲学書、中世ヨーロッパの宮廷文学、イングランド固有の聖者伝など数多くの文献からの引用を含み、社会風刺の性格も帯びている。短いながら幾通りもの解釈が可能な内容豊かな物語を味読しつつ、中世イングランドの文化と社会への理解を深める。
授業計画にあるとおり、二週ずつを一つの単位として一週目はテクストの精読に、二週目は前の週に読んだテクストと関連する文学的・文化的テーマに関する講義とディスカッションに費やす予定。
毎回の授業への取り組み、原文への理解度を試す期末試験、および物語の解釈を論じた学期末レポートを成績評価の対象とする。
Victor Lee, Peter Mack, and Andy Hawkins (eds.), "Geoffrey Chaucer: The Nun's Priest's Tale," Oxford Student Texts (Oxford: Oxford University Press, 2008)を教材として用いる(ISBN: 0198326939)
授業中に指示する。
授業で用いる中英語のテクストには語彙集と詳細な語注が付いているので、中英語の知識が皆無でも問題なく履修できる。物語の全文を原文で読むのではなく、一部の抜粋を原文で、残りの部分を現代英語訳で読むことにより、一学期間で物語全体を完読する予定である。