15~16世紀の中世韓国語を知るために重要なハングル資料を選んで講読する。「ハングル資料」とは,ハングル創制(1443)以来,ハングルによって表記された資料をさす。中世語の音韻・形態・文法について,特に現代語と異なる部分を中心に学習し,韓国語の歴史的研究のための基盤とすることを目標とする。
夏学期は『訓民正音諺解』『龍飛御天歌』『釈譜詳節・月印釈譜』『法華経諺解』『三綱行実図』『杜詩諺解』などの15世紀に作られた資料を中心に,各資料について一部分を抜粋し2~3回に分けて講読を行なう。秋学期はそれに引き続いて『翻訳小学』『続三綱行実図』『翻訳老乞大』『小学諺解』など16世紀に作られた資料を,各資料について2~3回に分けて講読を行なう。 中世語資料を読むための古語辞典の使い方,用例を検索するためのコーパスの扱い方についても学習する。
夏学期の最初の2回ぐらいは中世語全般に関する概説を行なう。引き続いて各資料の講読を行なうが,当初は教員が行ない,学期の半ば頃から学生諸君にも分担してもらいながら講読を進めていく。
平常点とレポートによる。
講読する中世語のテキストは教員が準備して受講者に配布する。
李基文(1998)『新訂国語史概説』ソウル:太学社
安秉禧・李珖鎬(1990)『中世国語文法論』ソウル:学研社
趙義成(2010)『訓民正音』(東洋文庫800)東京:平凡社
福井玲(2013)『韓国語音韻史の探究』東京:三省堂
中世語は初心者でもかまわないが,現代韓国語は中級程度まで履修していること。