この講義では、機能的類型論に立つ文法理論であるRole and Reference Grammar (RRG)を背景とした文法分析を、講義と演習を通じて身につける。世界の言語の多様性を尊重しつつ、そこに見られる法則性を、意味論的・語用論的な観点から説明することを目指す。認知・機能言語学的な枠組みでの文法理論に関心がある人、理論言語学は必ずしも専門とはしないが、外国語教育やコミュニケーションの分析のために実用的な分析方法を身につけたい人には特に有用と思われる。なお、本年8月に駒場キャンパスにてRRGの国際会議が開催される。そのための「予習」にもなるであろう。
第1回 導入 第2回 語の構造
第3回 文の構造 (i) 第4回 文の構造 (ii)
第5回 述語の意味構造 第6回 意味と形式のリンク (i)
第7回 意味と形式のリンク (ii) 第8回 名詞句と前置詞句
第9回 複文 (i) 第10回 複文 (ii)
第11回 情報構造 (i) 第12回 情報構造 (ii)
第13回 レビュー
講義と演習
定期試験(約50-60%)、およびクラスでのアクティビティ(約40-50%)で総合評価する。
Emma L. Pavey (2010) The Structure of Language: An Introduction to Grammatical Analysis. Cambridge University Press、および専門的な分析を行っている論文。
RRGのサイトは:
http://linguistics.buffalo.edu/people/faculty/vanvalin/rrg.html
簡潔な概観の他、各種論文、文献表などのリンクがある。日本語で読める関連文献としては、M. トマセロ(編)(2011)『認知・機能言語学』(研究社)所収のVan Valin論文、中村芳久(編)(2004)『認知文法論Ⅱ』(大修館書店)の中村渉の章、中村渉他 (2015)『認知類型論』(くろしお出版)の中村渉の章、坂原茂(編)(2000)『認知言語学の発展』(ひつじ書房)所収の大堀論文、益岡隆他(編)(2014)『日本語複文構文の研究』(ひつじ書房)所収の大堀論文がある。