戦間期以降に書かれた三篇の英米小説の読解を通じて、テクスト分析の様々なアプローチを学び、文学批評理論への理解を深める。
今学期に扱うのは以下の三篇の小説である。1) Virginia Woolf, "Mrs. Dalloway" (1925); Michael Cunningham, "The Hours" (1998); 3) Ian MacEwan, "Saturday" (2005). 学期の前半(第1週から第9週まで)は、部分的に原書を参照しながらそれぞれの小説を読み、以下のテーマを考察しつつ、それらと関連する批評理論への理解を深める。
① 語り、時間、空間
② 生と死
③ 都市と文学
④ 戦争と文学
⑤ ジェンダーと階級
⑥ コロニアリズム、ポストコロニアリズム
⑦ インターテクスチュアリティ
⑧ アダプテーション
学期の後半(第10週以降)は、受講者が各々作品とテーマを選んで学期末レポートの作成に取り込む。授業中に草稿をたがいに批評し合いながら、学術論文としての体裁を整え、最終稿を仕上げていく。
ディスカッションと発表を中心にした演習形式。
授業態度と発表の内容、および学期末レポートの成績を総合して評価する。
ヴァージニア・ウルフ(丹治愛訳)『ダロウェイン夫人』(集英社文庫)
マイケル・カニンガム(高橋和久訳)『めぐりあう時間たち――三人のダロウェイ夫人』(集英社)
イアン・マキューアン(小山太一訳)『土曜日』(新潮社クレスト・ブックス)
授業中に指示する。
授業の初回までに『ダロウェイン夫人』を各自購入し、読み始めていることが望ましい。