東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

Language and Information Sciences, University of Tokyo

東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

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言語文化横断論演習[言語態・テクスト文化論コース](英語圏の現代文学を文化横断論的に読む)

  • 科目コード: 08C1614
  • 開講学期: A1, A2
  • 曜限: 火(Tue)2 [10:25-12:10]
  • 教室: 8号館 8-208
  • 単位数: 2.0
  • 担当教員: 武田 将明

授業の目標・概要

英語圏でもっとも権威のある賞のひとつであるブッカー賞を1981年に受賞した、Salman Rushdieの長篇小説"Midnight's Children"を読む。

なお、1993年と2008年に、歴代のブッカー賞受賞作でもっとも優れた作品を選んだことがあるが、ノーベル文学賞受賞者たちの作品さえも押しのけて、二度とも本作が選ばれている。ここから分かるように、本作は現代文学の古典と呼んでも過言ではない。

さらに本作は、V. S. Naipaulの諸作と並んで、現代の英語圏文学におけるインド・パキスタン系作家の活躍を予告した点でも重要である。本作が切り開いた状況のなかから、Hanif KureishiもJhumpa Lahiriも登場したといえる。それだけではなく、Zadie Smith, Junot Díaz, (2015年度のブッカー賞受賞者)Marlon Jamesといった、カリブ海の文化を背景にした現代作家たちの作品にも、本作の影響を見ることは可能である。本作の読解を通じて、植民地主義以降の世界文学を文化横断的に考えるための様々なヒントを得ることができるだろう。

もちろん、インドを舞台にする本作を読みながら、オリエンタリズムと現代文学との関係を考えることも可能だろう。出版後30年以上を経てもなお新鮮な本作を読みながら、現代文学・文化の様々な問題をともに考えていければ幸いである。

授業のキーワード

  • 英語圏文学
  • 文化横断論
  • オリエンタリズム

授業計画

Salman Rushdieの"Midnight's Children"を演習形式で読む。
毎週担当者を決めて報告してもらい、それを元に全員で議論する。
初回にはガイダンスをおこなう。

授業の方法

毎週50ページ程度を読む。
講義ではなく演習形式で進める。
担当者は簡単な筋のまとめのほか、気になった英語表現、自分なりの作品への考察を20分程度で発表する。毎回2名くらいを当てる予定。
長大な作品なので、毎週50ページくらいのペースで読み進める。それでも全部読むことはできないので、残りは受講者が各自で読むことになる。

成績評価方法

授業時の報告、および期末レポート(4000字から8000字程度)によって評価する。

教科書

Salman Rushdie, "Midnight's Children" (Vintage, 1995 / ISBN-10: 0099578514)

参考書

特になし。

履修上の注意