18世紀前半に成立したとされるイギリスの近代小説だが、Defoe, Swift, Richardson, Fieldingなどの作家がフィクションを発表する背景には、現在では忘れられた様々な文脈があった。ジャーナリズム、翻訳文学、恋愛ロマンス、秘史 (secret history)、諷刺劇、政治パンフレット、科学論文、哲学論文、伝記、歴史、書簡集など、様々な形態のテクストが交錯するなかに、改めて"Robinson Crusoe", "Gulliver's Travels", "Pamela", "Joseph Andrews"を置き直すことで、これらの小説の読みが更新されるだけでなく、「小説」というジャンルへの見方も変更を迫られるのではないか。
今学期はスウィフトを中心に、その周辺の作家・ジャーナリストたちのテクストを再読する。
以下の作品を読む。
Jonathan Swift, "A Tale of a Tub", Joseph Addison and Richard Steele, et al, "The Spectator" (excerpts), John Arbuthnot, John Gay, and Alexander Pope, "Three Hours after Marriage", John Arbuthnot, "History of John Bull", Viscount Bolingbroke, "The Idea of a Patriot King", Jonathan Swift, "Journal to Stella" (excerpts), Jonathan Swift, "Gulliver’s Travels".
演習形式でおこなう。学生の発表と全体での討議が中心となる。
授業での発表、および期末レポート(8000字程度、英語であれば2000 words程度、文献表は字数に含めない)。
Swiftの"A Tale of a Tub"と"Gulliver’s Travels"は、Oxford World's Classicsの最新版を自分で手に入れること。Swiftの著作については、Cambridge University Pressの新全集も参考になるだろう(購入の必要はない)。他の作品については、プリントかpdfファイルの形で配布する。
授業内で指示する。
しばしば邦訳のないテクストを用いるので、英語文献の読解に慣れていないと受講は難しいと思われる。