時代を超え、国境を越えて語り継がれ、書き継がれてきたアーサー王伝説。人々はこの物語に何を託し、この物語を通じて何を訴えようとしてきたのか。そして現代の私たちは、長い伝統を持つこの物語の中にどのような意味を見出すことができるのか。本授業では、12世紀以降の8世紀間にイギリス、フランス、アメリカで書かれた様々なジャンルの作品を読解しながら、アーサー王の物語が各々の時代や文化の中で新たな意味を獲得し、多様な変化を遂げていった様を詳細に観察し、分析する。
一学期間を二つのパートに分け、学期の前半には中世に書かれた作品を、おもに邦訳を用いて読解する。後半は近現代の作品を英語で精読する。扱う作品は以下のとおり。
1) ジェフリー・オヴ・モンマス著『ブリテン列王史』(12世紀のイングランドで書かれたラテン語の疑似歴史書)
2) ヴァ―ス著『ブリュ物語』(『ブリテン列王史』のアングロ・ノルマン語による韻文の翻訳。12世紀の作品)
3) クレチアン・ド・トロワ著『ランスロまたは荷車の騎士』(12世紀のフランスで書かれた韻文のロマンス)
4) トマス・マロリー著『アーサー王の死』(バラ戦争期のイングランドで書かれた散文のロマンス)
5) Alfred Tennyson著『国王牧歌』より“Lancelot and Elaine”(ヴィクトリア朝期の桂冠詩人が執筆した長編詩)
6) William Morris著 “King Arthur’s Tomb”(19世紀中葉のイギリスの中世主義を代表する芸術家による詩)
7) Wendy Mnookin著 “Guenever Speaks”(マサチューセッツ州在住の現代アメリカ詩人による詩)
初回は講義形式。二週目以降は、その週の課題となった作品の解釈についてディスカッション形式で授業を進める。最終週は学期末レポートのテーマについて受講者全員が口頭発表を行う。
毎回の授業への貢献度、および学期末レポートを併せて総合的に評価する。
授業中に指示をする。
授業中に指示をする。