電子メディアの興隆が読書文化の根幹にまで及んできていることはKindleやiPadのような読書端末、E-PubやPDFでの電子出版の普及を見れば明らかである。しかし、他方では、ウンベルト・エーコが述べるように、知の道具としての紙の本の知識文化における中心性が消滅するとは考えられないとも言われる(「書物は、車輪やハンマーのように、乗り越え不可能な発明」Umberto Eco)。さらに、最近の脳神経科学研究は、読字する脳の「文字中枢(brain’s letter box)」が、空間認知のニューロン回路のリサイクルにより獲得される仕組みを解明しつつある(Stanislas Dehaene Reading in the brain, 2009)。
紙と電子の間で〈読むこと〉が大きく変容していく「ハイブリッド・リーディングの時代」に「読書」とはどのような活動なのかを考える。
開講時に指示する
読書理論についての講義と電子書籍活用のワークショップを組み合わせて実施する。
電子書籍ワークショップへの参加、研究レポートの提出および成果発表会での研究発表。
特になし
Stanislas Dehaene: Reading in the brain : the new science of how we read, Penguin New York 2010 ISBN=9780143118053
Mayranne Wolf: Proust and the squid : the story and science of the reading brain, Thriplow : Icon Books 2007 ISBN=9781848310308
電子書籍端末等、ハイブリッド・リーディングの実験に必要な環境は、貸し出しを行う。