東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
現在、高校などの「古典」教材は、「歴史的仮名遣い」で記されている。しかし、この「歴史的仮名遣い」は、実は「歴史的仮名遣い」を僭称する「いろは仮名遣い」に過ぎない。しかも、「いろは仮名遣い」で記されている古典資料(古典作品)というものは、一つを除いてまず存在しない。このようにフィクショナルな「いろは仮名遣い」が、どのようにして「歴史的仮名遣い」の地位を独占するにいたったか、中古から近代までの日本語の変遷をたどりながら、説明する。本年は特に江戸期・明治期の仮名遣いの実態に重点を置く。
1 音韻変化と仮名
2 仮名遣い問題の発生と定家仮名遣い
3 いろは仮名遣いと江戸期国学
4 江戸期仮名遣いの実態
5 明治期仮名遣いの実態
6 近代仮名遣い論争
講義による
レポートによる。
プリントを配布する。
『話し言葉の日本史』(野村剛史)、吉川弘文館