東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
昨年度に引き続いて,中世韓国語における代表的な口語資料となる「順天金氏諺簡」を講読し,16世紀の韓国語がどのようなものであったか,また,他の刊本資料にみられる文語とはどのように違うかについて考察していく。
「順天金氏諺簡」は1977年に発掘されたハングルで書かれた手紙である。全部で192枚からなり,発信人は「順天金氏」の母親,父親,夫,兄弟など,受信人は「順天金氏」とその兄弟たちなどである。書かれたのは主に16世紀である。刊本が多い中世韓国語の資料の中で,口語を知ることができる異色の資料であり,また当時の人々の生活を知ることができる貴重な資料ともなる。この手紙の中から主なものを講読し,その当時の言語を知るとともに,他の資料,特に刊本にみられる文語的な文章との違いも把握する。2014年度に扱った部分の続きから読み進めていく。
講義と参加者諸君の発表による。対照させる過去の言語資料については,コーパスを活用する。資料はプリントとして配布する。
平常点とレポートによる。
趙恒範(1998)『註解 順天金氏墓出土簡札』ソウル:太学社
安秉禧他(1990)『中世国語文法論』ソウル:学研社
現代韓国語の初級を修得していること。