2015年は1965年の日韓国交正常化から50年を迎える年である。この50年の間、一方で日韓はさまざまな協力経験を蓄積することで、非常に意義のある成果を生み出してきた。にもかかわらず、この帰結としての今日の日韓関係は葛藤に満ちている。また、北朝鮮問題を抱え、さらに中国の大国化という新たな環境変化、さらに、日韓の対等化という構造変容に直面して、その行先をさまよっているかのようにも見える。本講義では、そうした日韓関係の歴史を再検討し、どのようにして現状が形成されたのかを考え、そのうえで、そうした現状に基づいてどのような未来を構想するのかを、講師と受講者がともに悩み、考えることを目的とする。本講義は、日韓の複数の講師によるオムニバス講義であり、東京大学グローバル地域研究機構の韓国学研究部門による東京大学の海外韓国学中核大学育成事業の一環として行われる。
以下のようなオムニバス講義で行う。
① 4/10 イントロダクション 木宮正史
② 4/17 日韓国交正常化交渉のプロセス NHK 日韓条約を見て来てもらったうえで、それについて議論する。
③ 4/24 『歴史としての日韓国交正常化ⅠⅡ』を編集して 対談:木宮正史・李鍾元
④ 5/1 韓国における日韓国交正常化をめぐる研究状況 張博珍
⑤ 5/8 日韓国交正常化以後50年の日韓関係をどう見るか
政治:日本の視点 木宮正史
*5月15日は五月祭のため休講
⑥ 5/22 日韓国交正常化以後50年の日韓関係をどう見るか
経済:日本の視点 安倍誠
⑦ 5/29 日韓国交正常化以後50年の日韓関係をどう見るか
政治:韓国の視点 李元徳
⑧ 6/5 日韓国交正常化以後50年の日韓関係をどう見るか
経済:韓国の視点 金ドヒョン
⑨ 6/12日韓国交正常化以後50年の日韓関係をどう見るか
社会文化:磯崎典世
*6/19は済州島で日韓国交正常化50周年に関する国際会議のため休講
⑩ 6/26 日韓国交正常化以後50年の日韓関係をどう見るか
社会文化:李鍾久
⑪ 7/3 日韓国交正常化以後50年の日韓関係をどう見るか
在日コリアンの視点から 外村大
⑫ 7/10 日韓国交正常化以後50年の日韓関係をどう見るか
鄭在貞
オムニバス講義という形式であるが、受講者には予め、当該授業に関わる論稿を読んできてもらったうえで、講師との質疑応答という形式で授業を進める。何らかの可視的な成果を出すというわけではないが、予習と授業を通して、何が争点、問題であるのかを明らかにしたうえで、それについて、どのように考えるのか、そのためにはどのような勉強、研究をしたらよいのかを考えてもらうようにしたい。
毎回の授業に対するコメントの提出、および学期末におけるレポートの提出、そして平常点などを勘案して成績評価を行う。
追って指示する。
李鍾元・木宮正史・浅野豊美編『歴史としての日韓国交正常化Ⅰ東アジア冷戦編・Ⅱ脱植民地化編』法政大学出版局、2011年など。
教養学部後期課程と大学院総合文化研究科の合併授業である。