東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
戦後の日本古代文学研究を牽引してきた巨人、西郷信綱の初期論考を精読しつつ、その学問形成の道筋をたどる。昨年度採り上げた津田左右吉との対比を基軸としつつ、民族的なものへのまなざしが何に裏打ちされていたかを見届けていく。
1、藤井貞和『国文学の誕生』などにより、西郷氏に関する伝記的事実を整理。
2、明治から昭和戦中期までの古代文学研究の流れを概観したうえで、戦後における左翼・進歩派のスタンスを見届ける。
3、講読対象と報告分担の決定。
4、分担による報告整理と論議。
5、まとめ。
1~3は講義形式で、4は演習形式で行なう。
報告の出来映えと論議での発言を判断材料とする。報告が水準に満たなかった際はレポートを課することもある。
『西郷信綱著作集9 初期論考・雑纂・総索引』
同書未収録の論考は別途コピーまたはPDFファイルを配布する。
記紀・万葉等、古代の文学作品自体を対象とする授業ではない。文学研究という制度にまつわる歴史状況やイデオロギーなどの問題に関心のある向きは、自己の専攻にこだわらずに参加して欲しい。