東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
『日本書紀』と『万葉集』を中心に、上代日本の諸テキストに描き出された世界像や歴史観について、その内実を掘り下げる。国民の古典としての近代的位置づけを克服して、古代東アジア世界の辺境に成立した書として位置づけ直すことはもちろんだが、同時に、切ないほど誇らしげなその記述内容を、不毛な曼荼羅の抽出で代替することなく、リアルに、具体的に、当時の人々の感性に肉薄する意気込みで精読する。
1、参考文献(1)(2)を分担講読。
2、1をふまえつつ、各自が問題を設定して分担発表し、討議する。
3、総括。
受講生の顔ぶれによって最適の方法を決定する。
レポート、発表の出来映え、および討議での発言を評価対象とする。
小島憲之他『日本書紀』1・2・3(日本古典文学全集)小学館。
佐竹昭広他『万葉集本文篇』塙書房
(1)神野志隆光『変奏される日本書紀』東京大学出版会。
(2)伊藤博文『憲法義解』岩波文庫。
他はコピーを配布する。
昨年は『日本書紀』について手探りの授業を構築したが、受講生一同の熱意により予想を超える水準の授業が実現した。昨年は半期のみの開講となったが、今年度は通年開講となる。昨年以上の盛況となることを期待する。