ゲーテの初期書簡小説『若きヴェルターの悩み』は、ドイツ語を駆使したそのみずみずしい文体により、ヨーロッパ文学に大きな衝撃を与えた。この作品のもつ文学的歴史的意義について、作品をドイツ語原文で読む訓練に加え、ドイツのギムナジウム高学年用読解補助教材を併用することで、その成立背景や基本的な作品解釈の方法を学ぶ。
教科書として使用するのはドイツ・レクラム文庫から刊行されているゲーテの『ヴェルター』原文テクストと読解補助教材(Lektüreschlüssel)の2冊である。特に補助教材についている各章課題チェックリストを効果的に利用しながら、作品構成、成立背景、人物描写、作品受容史などさまざまな視点から、ゲーテの『ヴェルター』について検討する。
演習形式で行う。共通のドイツ語テクスト(2冊)を毎時間、履修者全員で通読し、検討・議論する。必要に応じて、作品解説等を行う。
授業への積極性および学期末筆記試験。詳細は授業内で説明する。
Goethe, Johann Wolfgang: "Die Leiden des jungen Werther"(1787年第二稿決定版・新正書法対応) Reclam ISBN:978-3-15-000067-0 および Leis, Mario: "Lektüreschlüssel. Johann Wolfgang Goethe: Die Leiden des jungen Werter" Reclam ISBN: 978-3-15-015312-3.
ゲーテの『ヴェルター』の日本語訳(どの訳者のものでも可だが、念のため「1787年第二稿決定版」の翻訳であることを確認すること。また携帯する場合は文庫版が便利)を1冊、授業開始前までに読み通しておくことが望ましい。その他必要な参考文献は、授業中に適宜紹介する。
ドイツ語原書テクストを読むので、履修者はドイツ語中級以上の能力を持つ者に限る。毎回、ドイツ語テクストの予習がかなり必要になるので、それを了解した上での履修が前提条件。履修希望者は初回授業に必ず出席すること。また独和辞書は必携。