東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

Language and Information Sciences, University of Tokyo

東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

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言語情報科学I(態と他動性の基本)

  • 科目コード: 0810011
  • 開講学期: 夏
  • 曜限: 金曜2限
  • 教室: 8号館113
  • 単位数: 2.0
  • 担当教員: 坪井 栄治郎

授業の目標・概要

受動態・能動態、あるいは主語といった、一見自明に思える文法概念を様々な言語のデータを見ることによって再検討し、自然言語の多様性を理解するとともに、その基盤にある言語の動態を自然なものとして見る捉え方を導入する。

授業のキーワード

  • 他動性
  • 対格性
  • 能格性
  • 普遍性
  • 多様性

授業計画

  1. はじめに
  2. 「主語」と格標示パターン
    1. 主格/対格型の英語
    2. head-marking/dependent-marking
    3. 能格/絶対格型
  3. 統語的能格性
    1. 英語の能動構文・受動構文とDyirbal語の逆受動構文・能格構文の類似性
    2. 受動構文・逆受動構文の有標性、能動構文・能格構文の無標性
  4. 主語特性の非普遍性
    1. 形態的分裂能格性
    2. Philippine諸語のactor/topic間での主語特性の分裂
  5. 態概念の不確定性;構文間の連続性
    • 不定指示主語構文
    • 尊敬構文
    • 自発構文
    • 再帰構文
    • 中間態構文
  6. 普遍的文法的プロトタイプとsemantic map
  7. 主語特性の分裂の動機づけ
    1. 統語的主語特性分裂の動機づけ
    2. 対格型と能格型の動機づけと動機づけの競合
    3. 有標性標識としての能格標識
  8. 有標の事象把握形式としての態
  9. おわりに:個別言語研究の重要性

授業の方法

講義形式で行うが、講義内容に関連する演習的な作業を行うこともある。

成績評価方法

期末試験を行う。

教科書

坪井栄治郎「他動性と構文II:態と他動性」中村芳久編『シリーズ認知言語学入門 第5巻 認知文法論II』、大修館書店、pp. 205-246.(マスターコピーを用意)

参考書

適宜授業中に挙げる。

履修上の注意

言語学についてのあらかじめの知識は格別必要ないが、なじみのない言語のデータが多く出てくるので、それを楽しめる履修者を歓迎する。