第16回言語情報科学研究発表会

日時: 5月18日(金) 4:30〜
場所: 10号館3階会議室
発表者1: 陳順益(D3)
タイトル1: 台湾びん(門虫)南語の“去khi”に関する特殊現象について
内容1:

台湾語の方向表現”去(行く)”は、後ろに他の要素が来る場合、”去”及びその前 にくる他の方向補語の声調が声調交替の規則から逸脱し、文全体の調値が高くなる現 象がある。この現象についていままでの研究では殆ど触れられていない。本 発表で は、音声分析を行って先行研究の欠点を指摘し、台湾語における幾つかの特殊変調現 象を解明する。さらに調査の結果を使って、台湾や日本の研究者と中国の研究者の、 受身のマーカー”去-hou”に対する見解のずれを説明する。

発表者2: 高橋亮介(D2)
タイトル2: 輸送移動を表わすドイツ語動詞の多義性について
内容2:

「乗物による移動」の事象を表わす fahren(drive), fliegen(fly), segeln(sail) などのドイツ語動詞には様々な意味用法がある。いま動詞 fahrenを例にとると、以 下にみるとおり、この動詞は自動詞としても他動詞としても用いられ、また主語や目 的語には様々なタイプの名詞句が生起可能である。

(1)Das Auto faehrt nach Berlin.
the car drives to Berlin
「車がベルリンに向けて走る」
(2)Hans faehrt nach Berlin.
Hans drives to Berlin
「ハンスは車でベルリンに行く」
(3)Anna faehrt Hans/das Paket nach Berlin.
Anna drives Hans/the package to Berlin
「アンナは車でベルリンに ハンスを連れて行く/荷物を運ぶ」
(4)Hans faehrt das Auto.
Hans drives the car
「ハンスは車を運転する」(活動)

本発表では、同一形態をとる動詞に見出される上記の複数の意味用法がどのように関 連し合うのか、といった問題点から出発し、具体的な言語事実に即しつつそれぞれの 用法について意味役割・項構造の記述を試みる。また、これら動詞の項の実現にかか る制約を適切に把握するため、語彙分解の手法を用いながら概念的なレベルでの考察 も加えたい。


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