「ハワイ地元民の言語意識調査」 修士課程 古川敏明 |
【発表要旨】 1885年に官約移民として944人の日本人が初めてハワイに移住し、主に砂糖プランテーションの労働に従事した。1924年の移民禁止までに約20万人がやってきたが、そのうち約11万人がハワイに定着し、彼らの子孫が「日系人」、「日系アメリカ人」となった。1970年には、ジャンボ機が就航するようになり、日本人観光客が急増した。北杜夫は「日本国ハワイ州」といったそうであるが、ハワイは今も日本人にとって最もなじみのある海外旅行先の一つであり、州都であるホノルルは日本人には「判る」町であるといえる。 ハワイに最初の砂糖プランテーションが設置されたのは1885年のことであり、先住民の他、中国、日本、ポルトガル、フィリピンといった国々からの移民が農業労働者として動員された。プランテーションで用いられたHawaii Creole English(以下、HCE)は、基層語である英語やハワイ語に加え、各移民共同体の母語からの影響も見られる混交語である。 本発表では、まず、こうした時代背景を概観し、ハワイにおける日本語方言話者数に言及した上で、日系一世によるJapanese Pidgin Englishの言語的特徴を紹介する。次に、HCEの特徴を英語との比較において述べる。最後に、先月、ハワイ地元民に対して実施した、言語意識についてのアンケート調査の中間報告を行う。アンケートの結果からは、英語とHCEのニ言語併用に対する肯定的な態度が見られ、HCEはコミュニティーに参加するために必要な条件であることがわかる。しかし、HCEは経済的な成功とは必ずしも結びついておらず、HCEを学校で教えるべきかどうかという設問に対しては、すべての回答者が態度を保留している。 |
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リテラシー研究からハワイ語の再活性化へのアプローチ 博士課程 古川敏明 |
【発表要旨】 本発表では、ハワイ語の再活性化について、リテラシー研究の観点からアプローチを試みる。まず、発表の前半では、リテラシーに関する先行研究レビューを行い、リテラシーを「読み書き能力」と定義したり、「メディア・リテラシー」のように定義を拡大していくことから生じる問題点を確認する。また、リテラシーと貧困の相関関係、大分水嶺理論などについても触れる。発表の後半では、ハワイ州の事例を取り上げ、リテラシー研究からアプローチすることによって、ハワイ語の再活性化における政治的な側面が明確化することを確認する。 |
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