東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

Language and Information Sciences, University of Tokyo

東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

〒153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1

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外国語としての日本語教育II (インタビュー:「個」を掘り下げ,分析し,他者に伝えるための技法)

  • 科目コード(修士): 31M200-1260S
  • 科目コード(博士): 31D200-1260S
  • 開講学期: S1S2
  • 曜限: 火曜4限 Tue 4th
  • 教室: 駒場8号館 8-317
  • 単位数: 2
  • 担当教員: 宇佐美 洋

授業の目標・概要

 「人間」を対象とする研究において,「大量のデータを収集し,そこから一般法則を見出していく」という手法ではなく,むしろ「少数の人からインタビューによって詳細に話を聞き出し,思考や個人の成長のプロセスなどを丹念に追っていく」という手法を採りたいと思っている学生もいるでしょう。しかしながら,「インタビューで何をどう聞いていったらよいのかわからない」「話がすぐ終わってしまう」,あるいは,「せっかく大量のデータを集めたのに,その分析の仕方がわからない」,さらに,「せっかく苦労して分析したのに,『それはあなた自身がそう思っただけであって,なんの説得力もない』と言われてしまった」という悩みも少なくないことと思います。
 人間とは極めて多様なものであり,たやすく一般化できるものではありません。あるひとりの人間が何を思い,どう成長してきたのかについて,丹念に話を聞いていくことには大きな意味がありますが,しかし単に,聞き出した話をまとめ直すだけでは「研究」にはなりません。ある人の「語り」を研究にするためには,その語りをいったん抽象化し,再構成し直す必要があります。また複数の人々の多様な語りを比較し,それらの中に共通の構造を見つけ出すことができればさらに興味深い研究となります。
 この授業では,インタビューを用いた研究論文を購読し,どのような分析がなされているかを批判的に検討するとともに,各自自分の関心にあったインタビュー手法を見出し,実際にインタビューを実施し分析を進めていきます。

授業のキーワード

  • reliability
  • 一般性
  • 移転性
  • qualitative research
  • theory formation

授業計画

1. 質的研究・量的研究の特性
2. インタビューを用いた研究論文の批判的検討
3. 各種インタビュー技法についてのリサーチ
4. インタビュー,分析実習
5. 学生自身による調査計画の立案・検討
6. 研究のためのデータ収集
7. 発表・討論

授業の方法

論文講読,学生自身による各種インタビュー手法についてのリサーチ,調査計画の立案・実施,インタビューデータ分析実習,プレゼンテーション等

成績評価方法

授業への参加状況(授業内での提出物・プレゼンテーション等含む),最終レポート

教科書

特にありません。必要あれば適宜授業内で指示します。

参考書

特にありません。必要あれば適宜授業内で指示します。

履修上の注意

この授業は,特定のインタビュー手法を紹介し,習得してもらうための授業ではありません。なぜ自分はインタビューという研究手段を取る必要があるのか,自分の問題意識にうまく対応するためには,どういう分析手法をとるのがいいか(あるいはどのような手法を自ら作り出す必要があるか)ということを自ら考え,他のメンバーとともに議論を深めていくための授業です。インタビューの経験や,質的研究についての予備知識は不要ですが,自分なりの問題意識をもって参加することをお勧めします。