東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
『万葉集』巻第四をテキストとして解読する。同巻は従来、編纂論の立場から巻一・二の拾遺篇として取り扱われてきたが、立場をテキスト論へ移行させることにより、いっそう奥行きのある理解がひらけてくるものと予測される。容易に看取できるのは、舒明皇統歌集としての巻一・二を巻三とともに引き取り、聖武天皇一代記としての巻六へと受け渡す役割だが、年代記的配列が不鮮明な点から見ても、歴史を語るテキストとしては不徹底に出来上がっている。裏返せば、明確な歴史テキストといえる巻一・二や巻六とは異なる側面に巻四の特質がありそうに思われる。個々の歌を精読することを通してこの問題に接近したい。
(1)巻四の構成を見わたし、要所を指摘するとともに、皇族と藤原氏・大伴氏のポリティクスという視点から問題点を提示する。
(2)問題となる歌を個別に分析。
「授業計画」のうち、
(1)は品田が担当する。
(2)は受講生が分担して発表し、討論する。
各自の発表と討論を成績評価の判断材料とする。
佐竹昭広・木下正俊・小島憲之『万葉集 本文篇』塙書房。
坂本信幸・毛利正守『万葉事始』和泉書院。
活発な討論を期待する。