ヴァルター・ベンヤミンが遺した論考のなかでもっともよく知られた「複製技術時代の芸術作品」であるが、現在邦訳で広く流通しているのは第二稿であり、それ以外に準備稿、初稿、仏訳稿、第三稿の計5つのヴァージョンが存在する。この授業では、そのなかで邦訳がいまだ存在しない初稿を、とりわけ第二稿との相違点に着目しつつドイツ語で精読することで、メディア・テクノロジーと知覚の変容をめぐるベンヤミンの思考の展開について考察する。
テキストは基本的に『ベンヤミン新批判版全集』第16巻(Benjamin, Werke und Nachlaß. Kritische Gesamtausgabe, Band 16: Das Kunstwerk im Zeitalter seiner technischen Reproduzierbarkeit, hg. von Burkhardt Lindner unter Mitarbeit von Simon Broll und Jessica Nitsche, Frankfurt am Main: Suhrkamp 2012)所収のもの――ここでは「第二稿〔Zweite Fassung〕」と表記――をもちいるが、英訳や第二稿の邦訳も適宜参照する。
演習形式で進める。担当者が訳文を作成し、それをもとに議論をおこなう。
授業への貢献度と期末レポートで評価する。
コピーを配布する。
授業内で指示する。
ドイツ語の学習経験があること。