16世紀前半に活躍した英詩人トマス・ワイアットの詩を中心に据え、伝統の創造的継承をキーワードに初期近代の英詩を味読する。一学期間を三部に分け、第一部では14世紀末から15世紀のイングランドで広まったフランス風の定型詩、バラードに焦点を絞り、この詩形を用いて書かれたワイアットの英詩を味わう。第二部では、ペトラルカのイタリア語のソネットから翻訳されたワイアットの恋愛詩を出発点とし、その伝統を継承しつつ、独自の視点から英語のソネットの連作を試みた16~17世紀の詩人たちの作品を精読する。第三部では、後世の詩人たちによるソネットを考察する。授業で扱う詩人たちは、ワイアットのほかにジェフリー・チョーサー、シャルル・ドルレアン、ヘンリー・ハワード、フィリップ・シドニー、エドマンド・スペンサー、ウィリアム・シェイクスピア、メアリー・シドニー・ロウスなどとなる予定。
一学期間のスケジュールは以下のとおり。
第1回 イントロダクション
第2回 フランス風定型詩の伝統―チョーサーからワイアットへ(1)
第3回 フランス風定型詩の伝統―チョーサーからワイアットへ(2)
第4回 ペトラルカ風恋愛詩の系譜―トマス・ワイアットによる翻訳
第5回 ペトラルカ風恋愛詩の系譜―ヘンリー・ハワードによる翻訳
第6回 ペトラルカ風恋愛詩の系譜―フィリップ・シドニーによるソネット連作
第7回 ペトラルカ風恋愛詩の系譜―エドマンド・スペンサーによるソネット連作
第8回 ペトラルカ風恋愛詩の系譜―シェイクスピアのソネット(1)
第9回 ペトラルカ風恋愛詩の系譜―シェイクスピアのソネット(2)
第10回 ペトラルカ風恋愛詩の系譜―シェイクスピアのソネット(3)
第11回 後世の詩人たちによるソネット(1)
第12回 後世の詩人たちによるソネット(2)
第13回 まとめ
毎回、2篇ほどの詩を選び、形式と内容を比較しつつ精読する。担当者による詩の解釈の発表と参加者全員によるディスカッション、および教員からの補足説明を中心に授業を進める。
授業への参加態度、口頭発表や学期内レポートの内容、および期末試験の成績を総合して評価する。
プリントを配布する。
授業中に指示する。
必ず予習して授業に臨むこと。