近・現代日本語表記は、本行の文字本体のみならず、様々な句読点(punctuation marks)やその他の記号、振り仮名などの、多くの(本来)オプショナルな付加的要素によって成り立っている。それらが果たす機能も決して小さいものではない。それらは、文学研究的にも大きく関心を持たれるべき対象であるが、書記言語を対象とする言語研究においても重要な研究対象であるはずであるが、今なお十分な研究成果が挙げられていないことは否めない。本講を通じて、そうした未開拓の面も大きい分野について、共に考えていきたい。
概ね以下のような内容を扱う予定である。
(1) 表記符号概説
(2) 句読法史(1) 日本語句読法前史
(3) 句読法史(2) 写本時代
(4) 句読法史(3) 近世板本
(5) 句読法史(4) 洋学と句読法
(6) 句読法史(5) 明治前期
(7) 句読法史(6) 明治後期以降
(8) 引用・会話符史(1) 引用符前史
(9) 引用・会話符史(2) 引用符の成立
(10)引用・会話符史(3) 会話符の成立
(11)発音符号史(1) 濁声点の変遷
(12)発音符号史(2) 濁音符号・半濁音符号の成立
(13)発音符号史(3) 濁音符号から濁点へ
主として講義形式によるが、受講者の課題作業も求める。
平常点(40%)、レポート(60%)。
プリントを使用する。
適宜講義中に紹介する。
予備知識の有無は前提としない。