民俗学者であるとともに国文学者であり、さらには釈迢空という特異な筆名を用いた創作者でもあった折口信夫がさまざまな分野に残した作品を、同時代(近代)の欧米および日本の人文諸科学と文学表現、近代以前を対象とした歴史学をはじめとする諸学の成果を通して再検討する。そのことによって、表現におけるリアルとフィクション、創作と批評、権力と芸術の相克と浸透を浮き彫りにしていきたい。 折口信夫を主題とするのは、あくまでも暫定的なものである。受講者との議論を通じて、授業の具体的な内容およびプロセスの詳細を決定してきたい。
授業の初回で全体のガイダンスをした後、受講者とともに授業全体の主題と内容を決定していきます。 折口信夫と同時代の表現者たち(柳田國男や泉鏡花や谷崎潤一郎)、および折口から影響を受けた後続の作家たち(三島由紀夫や大江健三郎や中上健次)を論じ、文学だけでなく哲学や宗教学にまで射程を広げ、さらにはヨーロッパの人類学や民族学、アメリカの哲学などとの関係も論じていきたいと考えています。 読むために書き、書くために読む。「批評」は広義の解釈学であると捉えています。より豊かな解釈をなしていくためには、理論と実践をともに深めていくことが必要不可欠であるでしょう。授業全体を通して、理論と実践が創造的に交錯した「批評」を実現していきたいと考えています。
講義およびデイスカッション、受講者の発表
発表を必須とした授業への参加状況(40%)および学期末に提出する課題レポート(60%)
折口信夫『古代研究』Ⅰ~Ⅵ(角川ソフィア文庫、2016~17年) 折口信夫作『死者の書・口ぶえ』(岩波文庫、2010年) いずれも購入の義務は課しません
安藤礼二『折口信夫』(講談社、2014年) 購入の義務は課しません
文学や批評に対する意欲を持った受講者を求めます。 授業の目標にも記しましたが、受講者との議論を通して、授業の具体的な内容やプロセスの詳細を決定していきたいと考えています。積極的に授業に参加してくれることを望みます。