この授業では、言語研究の中で「語」の構造と新語の形成過程を探求する語形成(word formation)という分野を音韻構造の焦点を当てて考察する。具体的には複合語、派生語、重複語、短縮語、頭文字語、混成語、逆さ言葉など、さまざまな種類の「語」についてその音韻構造を分析し、(1)語形成によって音韻構造がどのように変わるか、とりわけ入力のアクセントが出力のアクセントにどのように関与するか、(2)語形成過程にどのような音韻制約が働くか、以上の2点を特に考察する。分析対象は主に日本語(東京方言、鹿児島方言他)であるが、英語や他の言語にも言及しながら、語形成の普遍性と個別性も探る。
合計13コマの集中講義を行う。各回のテーマは次の通り。
1.序論
2.複合語
3.派生語と重複語
4.オノマトペ(擬音語・擬態語)
5.赤ちゃん言葉
6.短縮語
7.複合語の短縮(「ポケモン」タイプ)
8.複合語の短縮(「ケータイ」タイプ)
9.頭文字語(日本語)
10.頭文字語(英語)
11.混成語
12.逆さ言葉とズージャ語
13.まとめ
事前に教材を指定し、授業の前半は演習形式で受講生に発表(説明)してもらう。後半は質疑応答と解説を行う。
平常点(授業における発表)30%、レポート70%
事前にプリント(論文)を配布する。
窪薗晴夫 (1995) 『語形成と音韻構造』 くろしお出版。
窪薗晴夫 (2002) 『新語はこうして作られる』 岩波書店
必ず予習して授業に臨むこと