東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
『万葉集』の防人歌を読み直す。防人歌は過去百年あまり、東歌とともに『万葉集』の全階級的布陣の例証と見なされ、国民歌集としての万葉像を支えてきた。読みの更新を通じて認識を抜本的に変更する。
1、防人歌をめぐる問題系
2、防人歌の前近代と近代(戦前期・戦中期・戦後)。
3、防人制度の沿革。
4、入隊宣誓式の想定とその問題点。
5、戦後の防人歌享受(「旅の歌」という把握とその問題点)。
6、防人歌のことばは「東国方言」か。
7、大伴家持の企画と各国部領使の役割。難波津というトポス。
8、解読1。下野国の場合。
9、解読2。上総国の場合。
10、解読3。武蔵国の場合。
11、防人歌とは何か。大伴家持は防人歌に何を期待したか。
講義形式で行なうが、申し出があれば受講生の発表をも妨げない。
随時課題を課する。
佐竹昭広・木下正俊・小島憲之『万葉集 本文篇』塙書房
坂本信幸・毛利正守『万葉事始』和泉書院 東城敏毅『万葉集防人歌群の構造』和泉書院
従来のとらえ方を根底から覆す内容となる。進行を妨げることに躊躇せず、随時質問を投げかけて欲しい。