昨年刊行され話題となった國分功一郎『中動態の世界』では、バンヴェニストのアリストテレス論を批判的に論じたデリダの「繫辞の代補」(1971)が批判的に扱われている。しかし、バンヴェニストが問題にした哲学と言語の関係は、デリダ自身がこの時期、隠喩論などで繰り返し取り組んでいた問いである。他方、エティエンヌ・バリバールは中後期デリダの取り組みをヘーゲルおよびバンヴェニスト言語学との関係において考察している。これらの関連文献を読み、デリダとバンヴェニスト(構造主義)の関係、思考と言語の関係などについて考える。
國分『中動態の世界』やバリバール 「感覚的確信からジャンルの法へ――ヘーゲル、バンヴェニスト、デリダ」を導きの糸に、バンヴェニスト「思考のカテゴリーと言語のカテゴリー」、「言表の形式的装置」、デリダ「繫辞の代補」などを読む。
教員によるイントロダクションの後、文献を読み、議論する。文献は前もって担当を決め、担当者は担当範囲を要約しながら提示し、コメントを付す。
報告および期末レポート。
エミール・バンヴェニスト『一般言語学の諸問題』みすず書房、1983年。ジャック・デリダ『余白』藤本一勇訳、法政大学出版局、2008年。
國分功一郎『中動態の世界』医学書院、2017年。コスタス・ドゥージナス編『来たるべきデリダ』明石書店、2007年。
上記は予定であり、また、受講者の顔触れも考慮するので、第1回に出ること。テクストは、原文はフランス語のものが多いが、日本語訳、英語訳で参加可。