東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

Language and Information Sciences, University of Tokyo

東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

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言語情報科学特別講義III(音響分析に基礎を置いた音声学・音韻論)

  • 科目コード(修士): 31M200-1532S
  • 科目コード(博士): 31D200-1532S
  • 開講学期: S1, S2
  • 曜限: 月(Mon)2 [10:25-12:10]
  • 教室: 18号館 言語情報解析室
  • 単位数: 2.0
  • 担当教員: 五十嵐 陽介

授業の目標・概要

 未知言語(全く記述されていない言語)を含む諸言語の記述・分析に必要な音響音声学的手法を習得する。
 文字に書かれた言語データだけではなく、録音された音声データの分析ができれば、言語研究の可能性は大きく開ける。特に未知言語は文字を持たないため、それを研究するためには発話された音声のみが分析の対象となる。したがって音声学の知識・技能が必須となる。
 とはいえ、自分の母語にない音の区別(例えば英語のrightとlightの区別、hat, hut, hotの区別など)を聞き取るのは容易ではない。耳で聞いて音を区別する技能は訓練を通じて高めることができるが、経験のある音声学者であっても誤りを犯さないとは限らない。
 そこで音響音声学の技能が役に立つ。音響音声学は、言わば目に見えない音声を可視化する技術である。音響音声学の手法を用いれば、非母語話者にとって違いが無いように聞こえる音の違いを、極めて明瞭な形で、可視化、定量化(数値化)することができるようになる。近年の分析機器の技術的な発展を背景として、音声の音響分析は従来考えられてきたほど敷居の高いものではなくなってきている。
 本授業では無料の音声分析ソフトウェア"Praat"を用いた演習を通じて、音響分析に基礎を置いた言語分析の仕方を学んでいく。
 なお、ある音声と別の音声の違いを、音響分析の手法を用いて捉えることが可能となったとしても、ある言語の音の体系を記述することができるようになるわけではない。本授業では、音響分析の手法を身につけるとともに、音素、対立、ミニマルペア、相補分布などの、言語の分析(音素分析)に必要な諸概念についても学ぶ。

授業のキーワード

  • 音声学
  • 音響音声学
  • 音韻論
  • 言語学
  • 子音
  • 母音
  • 音素
  • アクセント
  • トーン
  • 声調
  • イントネーション
  • 日本語
  • 英語
  • 琉球語
  • チワン語
  • 音声波形
  • 基本周波数
  • スペクトログラム
  • スペクトル
  • フォルマント
  • VOT
  • 弁別特徴
  • ミニマルペア
  • 対立
  • 相補分布

授業計画

1.聞き取りにくい音とは何か。それをどのように可視化するか。
2.音声分析ソフトウェアの基本操作。音声波形、サウンドスペクトログラム、基本周波数曲線。
3.母音を区別する1
4.母音を区別する2
5.母音を区別する3
6.子音を区別する1
7.子音を区別する2
8.子音を区別する3
9.子音を区別する4
10.アクセント・声調(トーン)・イントネーションを区別する1
11.アクセント・声調(トーン)・イントネーションを区別する1
12.音響音声学の基礎概念のまとめ1
13.音響音声学の基礎概念のまとめ2
14.音声学から音韻論へ1
15.音声学から音韻論へ2

授業の方法

講義とともに、音声分析ソフトウェアを用いた演習を行う。分析対象となる音声データの配布については授業中に指示する。

成績評価方法

演習課題40%、期末試験60%

教科書

特に指定しない。適宜プリントと音声データを配布する。配布方法は授業中に指示する。

参考書

齋藤純男『日本語音声学入門:改訂版』三省堂
今泉敏『言語聴覚士のための音響学』医歯薬出版
レイ・D・ケント,チャールズ・リード(著),荒井隆行,菅原勉(監訳)『音声の音響分析』海文堂
Ladefoged, Peter and Ian Maddieson. The Sounds of the World's Languages. Blackwell.
Johnson, Keith. Acoustic and Auditory Phonetics. 2nd edition. Blackwell.
Ladefoged, Peter. Elements of Acoustic Phonetics. 2nd edition. University of Chicago Press.

履修上の注意