東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
60年代から言語あるいはエクリチュールの問いの根底的な再考を行っていたデリダは70年代に2編の隠喩論を発表する。隠喩が特別な主題となる背景には言語や修辞学をめぐる同時代の新しい動きがあるが、デリダの問いかけは隠喩を言語学や修辞学の枠に収めることを許さないものである。同時代の動きや修辞学の流れなどの文脈を踏まえてこれらの論文を読みたい。
イントロダクションの後、主として以下の2編のテクストを読む予定(相談のうえ、状況により調整する)。
・Jacques Derrida, « La mythologie blanche (la métaphore dans le texte philosophique » (1971) in Marges, Minuit, 1972.(「白い神話(哲学的テクストにおける隠喩)」『余白』所収)
・Derrida, « Le retrait de la métaphore » (1978) in Psyché, Galilée, 1998.(「隠喩の退引」『プシュケー』所収)
テクストを文脈(修辞学史における文脈、同時代の文脈、デリダにおける文脈、等)に位置づけるためイントロダクションを2回ほど行なった後、分担を決め、読み進める。担当者はレジュメを用意し、発表する。
担当箇所の発表、議論、および、期末の課題。
上記のフランス語原文のコピーを用意するが、英訳や日本語訳による参加も可。