東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
19世紀末のフランス文学にワーグナーが与えた影響は看過できない。それを正面から引き受けた詩人にマラルメがいるが、ヴァレリーもまた例外ではない。彼の詩論や芸術論、またその実作(詩や戯曲)を通じて、彼がワーグナーの作品と理念をどのように受け止め、どのような形で「対抗」しようとしていたのかを、ボードレール的な照応の美学との関連も意識しつつ考えたい。
最初に大まかな問題の位置づけを講義形式で行った後、ヴァレリーのテクストをいくつか選び、その輪読を通じて、さまざまな論点の洗い出しを行い、教員と授業参加者との議論につなげたい。
講義と演習
授業での発表と学期末レポートを総合して行う。
Timothée Picard, L'Art total, Grandeur et misère d'une utopie (autour de Wagner), Presses Universitaires de Rennes, 2006.