東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
ジェラール・ド・ネルヴァル(1808-1855年)は、一方ではマルセル・プルースト、他方ではシュルレアリスムにつながる系譜の端緒をなす存在である。代表作の一つとされる中編小説「シルヴィ」(1854年、『火の娘たち』所収)を精細に読み解き、ネルヴァルの具現した文学的可能性の核心をさぐるとともに、同時代の社会・文化的状況のなかに作品を位置づけることを目標とする。
ネルヴァルおよびその時代に関するイントロダクションののち、「シルヴィ」を読む。「劇場と女優」「記憶と夢」「旅とエクリチュール」「時間の重層性」といったコンセプトに照らしつつ読解を進める。同時にネルヴァルの他の作品や同時代の諸作・資料も参照し、「シルヴィ」を当時のコンテクストのうちに位置づける。
教員による概説および参加者による訳読。
平常点およびレポート。
Gerard de Nerval, Les Filles du feu/Les Illumines, Gallimard, "folio classique", 2005.
随時指示する。