東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

Language and Information Sciences, University of Tokyo

東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

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言語態基礎論IV (ゲーテ夫妻の往復書簡研究:書簡というメディア、そして文献学研究入門を兼ねて )

  • 科目コード(修士): 31M200-1090A
  • 科目コード(博士): 31D200-1090A
  • 開講学期: A1A2
  • 曜限: 月曜5限 Mon 5th
  • 教室: 駒場10号館 10-206
  • 単位数: 2
  • 担当教員: 石原 あえか

授業の目標・概要

電話もインターネットもないゲーテ時代の主要通信メディアと言えば、手紙以外になかった。ドイツを代表する詩人ゲーテ(1749-1832)が生きた時代は、郵便網が整備され、今以上に頻繁かつ迅速に書簡のやりとりが行われていた。ゲーテは主人公の一方的な書簡形式を用いた小説『若きヴェルターの悩み』でドイツ文壇の寵児となる一方、妻クリスティアーネとの往復書簡も残している。ドイツ語の読解力の向上に努めながら、この「書簡」というメディアを文学研究でどのように利用できるのか、またその際の問題点・注意点などを考える。またドイツ文字で書かれたテクストを読む訓練もしたい。

授業のキーワード

  • ドイツ文学
  • ドイツ文字(Fraktur)
  • 文献学
  • ゲーテ
  • ゲーテ夫妻の往復書簡

授業計画

最初の数回でゲーテの初期書簡小説『ヴェルター』における手紙の役割
・効果について、また当時の郵便網などに関する参考文献なども読んで、18世紀後半の書簡の機能について考える。あわせて参考文献にも挙げた『ドイツのひとびと』に挙げられる他のドイツ知識人の書簡との比較も行う。この導入後、まずゲーテの公的な手紙を幾つか原文で読み、後半は完全にプライベートな夫妻の往復書簡から興味深い例を抜粋して読む。最終的に公私で異なる文体の違いや役割等について参加者と比較
・議論しながら、ゲーテおよび彼の次代におけるメディアとしての書簡の役割を明らかにしていきたい。

授業の方法

演習形式で行う。指定された共通の日本語およびドイツ語のテクストを履修者全員が読解・分析・議論する。

成績評価方法

授業への積極性および学期末にはレポートもしくは筆記試験を課す予定。詳細は授業内で説明する。

教科書

1)日本語訳『若きヴェルターの悩み』(どの日本語訳でも構わない:もちろんドイツ語オリジナルでも可)
2)Sigrid Damm編集のBehalte mich ja lieb! : Christianes und Goethes Ehebriefe (ゲーテ夫妻往復書簡から抜粋したもの、初版1998、再版2003年)
3)ヴァイマル版『ゲーテ全集』の第三部・書簡 *なお、2)と3)についてはプリント配布予定。

参考書

W.ベンヤミンが編集した書簡集『ドイツのひとびと』(邦訳有) その他、授業中に適宜紹介する。

履修上の注意

ドイツ語原書テクストを読むので、履修者はドイツ語中級以上の能力を持つ者に限る。毎回、相当量の原文を読み込む予習が必要になるので、それを了解した上での履修が前提条件。履修希望者は初回授業に必ず出席すること、また『ヴェルター』の翻訳を一読しておいて下さい。