東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
歌人として知られる土岐善麿は、「朝日新聞」の論説委員を務めた経歴をももつ言論人でもあって、ローマ字の採用を主張するなど、その論調には健全な文化社会の建設という一貫したテーマが認められる。石川啄木の親友でもあった土岐は、平明な表現によって生活を歌うことを主張してアララギ派の斎藤茂吉を批判し、論争を生ずるが、それでいて、茂吉の第一歌集『赤光』の奇異な魅力をいち早く評価した人物でもあった。土岐という人について理解を深めることで大正~昭和初期における歌壇・論壇の状況を掘り下げていく。
手始めに土岐の生涯を概観し、茂吉との経緯を紹介する。さらに、西村陽吉とともに主宰した「生活と芸術」誌を精読する一方、後年の論説記事をも探索して読み進めたい。
生涯の概観と『赤光』発見の経緯までは品田が担当し、次回からは受講生の分担報告を交えながら進める。
分担報告の出来映えと討論での発言を総合的に判断して評価する。
日本の詩歌11『釈迢空・会津八一・窪田空穂・土岐善麿』 中央公論社。
*「生活と芸術」誌その他、必要なテキストは随時複写してPDFで配布する。
三省堂『現代短歌大事典』
14号館で行なう予定であるが、教室についてはこれから調整する必要がある。