東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

Language and Information Sciences, University of Tokyo

東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

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日本語学I(変体漢文の歴史と構造)

  • 科目コード: 08C1522
  • 開講学期: A1, A2
  • 曜限: 金(Fri)2 [10:25-12:10]
  • 教室: 8号館 8-110
  • 単位数: 2.0
  • 担当教員: 矢田 勉

授業の目標・概要

日本では、漢文を日本的に変質させた所謂「変体漢文」が、上代から近代初期にいたるまで、書記言語の重要な部分を占めてきた。
変体漢文は、直接的に日本語の口語を反映するものではないから、口頭言語史の記述を主要課題としてきた日本語史研究では周辺的な研究テーマとされてきた向きもあるが、口頭言語とは異なる原理に基づいて顕著な変化をなし、遂には最小限のリテラシーで扱いうる極めて巧妙な構造を獲得するに至ったという点で、日本における言語記号史に大変興味深いトピックスを提供するものである。
本講義では、はじめに変体漢文の事実上の完成形である「候文」の文法、その優れたシステムについて講じたのち、候文の登場と衰退にいたる変体漢文の通史について論ずる。

授業のキーワード

  • 日本語史
  • 変体漢文
  • 候文

授業計画

概ね次のように進行する(進度等の都合により変更の可能性あり)。
(1)概説-変体漢文とは
(2)候文の文法Ⅰ・「候」の用法
(3)候文の文法Ⅱ・倒置の用法
(4)候文の文法Ⅲ・助字の用法
(5)変体漢文の歴史1-推古朝以前の変体漢文
(6)変体漢文の歴史2-奈良朝の変体漢文
(7)変体漢文の歴史3-中古の変体漢文史(1)記録
(8)変体漢文の歴史4-中古の変体漢文史(2)文書
(9)変体漢文の歴史5-中世の変体漢文史(1)記録
(10)変体漢文の歴史6-中世の変体漢文史(2)文書
(11)変体漢文の歴史7-中世の変体漢文史(3)仮名文との交渉
(12)変体漢文の歴史8-候文の成立
(13)変体漢文の歴史9-変体漢文の衰退
 

授業の方法

講義形式によるが、資料読解の時間を多く取りたい。

成績評価方法

平常点(40%)、レポート(60%)。

教科書

プリントを使用する。

参考書

峰岸明『変体漢文』東京堂出版,1986
他は適宜講義中に紹介する。

履修上の注意

予備知識の有無は前提としない。