東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
言語の記憶や習得に関わる量的研究の方法論を解説します。データ解析の実演(ロジスティック回帰分析のデモンストレーション)もおこないます。解析するデータは,言語の使用実態を探る大規模プロジェクトで収集されたものです。その解析結果を受講者全員で検討することにより,言語の記憶や習得に関する知見を導き出します。
たとえば,成人の同一話者(山形県鶴岡市の方言話者)38名を41年間追跡したデータを解析してみると,アクセントは生涯を通じて共通語化していく傾向にあることが分かります。人間は,言語習得の臨界期を過ぎても,第一言語の習得を生涯にわたって続けていく場合もあるのだと考えられます。海外の研究動向も参照しながら,言語の記憶や習得の研究に役立つ研究手法を学びます。
第1部
言語変化の研究方法:カナダ英語の場合
第2部
愛知県岡崎市における敬語変化の大規模経年研究
岡崎市における敬語意識データの解析と結果の考察
第3部
山形県鶴岡市における共通語化の大規模経年研究
鶴岡市における共通語化データの解析と結果の考察
第4部
海外の研究動向
トロント大学公開データの解析と考察
第5部
学期のまとめ
毎回,講義形式を中心としますが,受講者全員による討論もおこないます。
授業における議論への参加度と,数回程度のミニレポートを総合的に判断して,評価をおこないます。
特にありません。
『英語学習は早いほど良いのか』(岩波新書) ,バトラー 後藤 裕子 (著),2015年