東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
ピエール・バイヤールは現在も活躍する文芸批評家であり、従来の批評とは異なる大胆な命題と分析で読者を驚かせてきた。批評でありながら一種の小説のようにも読めるところも、その著作の特徴である。にもかかわらず、バイヤールのテクスト分析はオーソドックスな批評理論をみな踏まえて活用したものであり、その著作を読みながら物語論や読書理論などを知り、かつその実践や展開の方法を学ぶことができる。本授業では、バイヤールを通して批評理論を学び取りたい。
始めに授業の趣旨およびバイヤールについて簡単な紹介を行った後、邦訳のある『アクロイドを殺したのは誰か』および『読んでいない本について堂々と語る方法』(『シャーロック・ホームズの誤謬』を扱うかは未定)を中心に、背景にある批評理論と合わせて読解を行う。
イントロダクションの後は演習形式で行う。あらかじめ担当者を決めておき、担当者はテクストを要約した上で、テーマを抽出し、問題提起を行う。
授業での報告・議論および学期末レポートで総合的に評価する。
『アクロイドを殺したのは誰か』(大浦康介訳、筑摩書房)、『読んでいない本について堂々と語る方法』(大浦康介訳、筑摩書房)
クリスティ『アクロイド殺害事件』やドイル『バスカヴィル家の犬』を読んでいることは前提とする。