東京大学大学院総合文化研究科
言語情報科学専攻
Language and Information Sciences, University of Tokyo
哲学者ジャック・デリダは1970年代の「送る言葉(envois)」以降、著作に自伝的要素をちりばめるようになった。他方、1980年代の『ニーチェの耳伝』や『メモワール――ポール・ド・マンのために』に顕著なように、「自伝」は彼の主題でもあった。本授業では、デリダの自伝的なテクストをその自伝論と共に読解することで、デリダがいかなる「自伝の脱構築」をはかったのかについて考察する。
始めに授業の趣旨、および、どのようなテクストがあるのかについて説明した後、「涙」「子ども」「母」「動物」「虚構性」といったテーマを立てながら、実際にいくつかのテクストを読む。取り上げることを予定しているのは、 自伝的テクストとしては、« Circonfession », « Un ver à soie », L’animal que donc je suis, 自伝論としては、Mémoires. Pour Paul de Man, « Il n’y a pas le narcissisme » (autobiophotographies) » など(それぞれ一部分)。
講義と演習を組み合わせて行う。
授業での報告・議論および学期末レポートで総合的に評価する。
コピー資料を使用する。
デリダのフランス語テクストを読むので、フランス語力が必要。テクストは予習してくること。